田中、農業はじめるってよ

山形県大江町で2018年に独立を目指しています。

雪が積もり始めた

 10日(土)から雪が積もり始めた。止むだろうと思いながら部屋で過ごしていると、あっという間に車の屋根や窓が雪で覆われる始末。これからが本番なのにビビッている。雪道の運転は慣れてない。エンジンブレーキを使い、アクセルとブレーキは一気に踏み込まない。それとカーブは直線に入ってからゆっくり加速する。スピードに関係なく後ろのタイヤが滑ったこと数回。とにかく、慎重に走らないと気づいたら玉突きや脇に突っ込みかねない。

 上の写真は、日本一楯山公園から見た風景。最上川と左沢一帯が一望できる絶好の場所だ。大江町の冬ははじめて。東京とは何もかも違うが、けっこうおもしろい。雪を見ながら露天風呂に毎日入れるし、雪の中にいると心が落ち着くし。悪いことばかりじゃない。

ラフランスの収穫と予冷

 今年のラフランスの販売解禁日は、10月22日。とはいっても、食べ頃は保管の仕方にもよるが旬は今週あたりから始まる。収穫の解禁日もあって、今年は10月7日だった。が、台風18号の影響で強風による落下が心配されたので、4日に前倒しとなった。

 師匠の畑には1反あるが、その前に1町歩はあるラフランス農家さんの収穫をお手伝いするのが毎年の慣例となっている。奥さんが師匠の畑の桃の摘果(花摘み)を手伝いにきてくれるお礼として。

 こんなに大きな実だからハサミを使って軸を切るのかと思ったら、笑われてしまった。お尻を手で掴み、軽く手前に押し上げるだけでポキッと軸は折れて収穫おわり。あまりにも簡単にとれるので拍子抜けしてしまった。風に弱いという理由がよくわかった。結果として風は吹いたものの、大きな被害はなかったからひと安心。7日で無事に収穫が終わった。

 うちらだけでなく応援に駆けつける農家さんが大勢いて、常時8人。多いときは14人。わいわいがやがや、同窓会のノリで賑やかな収穫だった。3か所で合計1町歩あるラフランス畑は、その規模に圧倒された。昔は、もう少し耕していたという。同じ地区だが、他人の畑で作業するのは初めてなのはもちろん、農道のつながりは覚えたし、違う風景を見られたのでとても新鮮だった。

 ラフランスは大玉で重いから、コンテナを運ぶのがひと苦労。だが、栽培管理は桃やりんごなどに比べると楽だし、出荷調整の時間も少ない。ただし、冷蔵庫での予冷が必要になるので、その設備を確保しなければならない。

 

 師匠の畑は11日に収穫して、14日に朝日町大谷にあるりんご農家さんの冷蔵庫に持って行った。りんごを4町から5町歩やっているら、とにかく冷蔵庫が大きい。朝日町はりんごの町といわれるくらい、りんご農家が多い。それに数人で集まって出荷組合を作り、営業先を開拓して販売しているのも大きな特徴だ。朝日町は、ふじの無袋栽培技術を日本で初めて確立しただけでなく、その味も一級品でブランド化されている。

のんびりしていたら11月

 気づいたら11月。あとはりんご(ふじ)の収穫を残すのみとなり、肥料まきや苗木の雪囲いなど細かい仕事をしながら10月後半は過ごしていた。で、明日は雪の予報。決して農業が嫌になったとか、リタイアしたとかではなく、ただブログの更新をサボっていただけ。その日に書かないと、後でやるはまずやらない。時間に余裕があるので、こまめに書いていく。今後ともよろしくお願いします。

桃の収穫がおわった

 桃の収穫が10月1日でおわった。光月という黄色の桃でかため。残りものには福があるじゃないが、おいしい桃だとおススメできる。袋掛けをせず、さらに9月下旬の長雨の影響で半分以上投げた(捨てた)。7本しかないとはいえ、散々な結果で収穫は気分が落ち込むばかり。師匠は奥さんに「忙しいから、わざわざ袋掛けしてもらおうとは思わなかった」と言い訳していた。きちんと栽培管理しないと不作で赤字になることを目の当たりにした。

 ほぼ2か月間、桃の収穫と選果に明け暮れた。これだけ桃を食べ比べたのは初めてだし、老若男女、喜ぶことがよくわかった。剪定や仕上げなど栽培技術はこれから身につけなければならないが、桃を品目の柱にすることはほぼ決めた。

 成木の畑が手に入るのか。苗木から育てたら、金が取れるまでどうしのぐか。問題はあるが、柱が決まり就農計画の輪郭がはっきりしてきた。

枝豆(秘伝)収穫の手伝い

 今年4月に独立した先輩Sさんの枝豆(秘伝)収穫を朝5時から6時30分まで手伝った。1年上のAさんも来たので計3人で3うね(距離は不明だがかなり長い)の枝豆を根っこから刈った。Aさんが上部を専用の農機具で刈り取り、その後、大きなハサミで根っこから1本ずと刈っていく。最後に10数本を一組に束ねてマイカ線で結び、トラックの荷台に乗っける。作業自体は簡単そうに見えるがコツがある。

・根っこは10㎝以上に残す。これより短いと、専用機械で脱さや(選果)すると根っこに近い豆がはじかれてしまう。

・結ぶときはがっちり結ぶ。ほどけるだけでなくかさ高になるので、積載量が少なくなる。

 全体の作業の流れが見えないと個々の作業の注意点が見えない。明日もあるので、これをふまえてテンポよく作業をしたい。

 秘伝はだだちゃ豆の仲間で、この村山地域では高級品種として知られている。この時期に収穫なので真夏のビールがうまい季節に合わないのが難点だが、ブランドは確立されているので価格は安定している。数日前、はじめてこの豆を食べたが豆の味が凝縮されていて抜群においしかった。反収は果樹に比べると低いが、野菜はつなぎでなく一品目は必ず入れたいと考えている。販路や作業スケジュールを考えると枝豆は悪くない。それと、久しぶりに土に触れて作業をして労働のきつさは別にして性に合っていると感じた。

畝に並ぶ刈り取った枝豆。右は明日、収穫する予定。

これで3うね分。落下しないか不安。

 

マルシェに出店~かたい桃のおいしさが広まっている!?~

 

 2日前の16日(金)、七日町レコルトマルシェに販売研修として出店した。七日町は山形駅から徒歩20分と少し離れているが、お洒落な店が立ち並ぶ繁華街で駅前より賑わっている。受入農家さんや先輩から提供してもらった果物や野菜を販売した。

 値段は安い(安すぎるのもある)が、通りがかりの人がちょこっと買うことを考えると強気の値段設定はできない。ももは、1個200円、3個500円に設定した。11時半前から13時半過ぎまで店を構えて、かなりの金額を売上げた。果物だけでなく、枝豆(秘伝)、野菜詰め合わせなどの野菜コーナーがあったのも大きかったと思う。秘伝豆は、だだちゃ豆の仲間。村山地域での知名度は抜群で、とびきり美味い。1時間少しで完売してしまうほど人気だった。値段はもちろん、品ぞろえと試食の工夫がマルシェの売上を左右すると思う。果物は生食のみだから野菜のように工夫しようないが、やはり食べてみておいしいと思わなければ人は財布に手を伸ばさない。

 ももは黄色とだて白桃の2種類を販売した。だて白桃は繊維が緻密で食感がかたい(歯ごたえがある)のが特徴で、実はあまりおいしいくない部類に入ると思う。だが、かたい桃が好みだと言って、だて白桃を買っていく人がかなりいることに驚いた。桃はやわらかくて甘いのが一番という流れは少しずつ変わりはじめているのではないか。歯ごたえのあるかたい桃のおいしさにハマる人が徐々に増えているならば、品種構成を考える時に少し加えても損はしないだろう。“おどろき”という桃はかたい桃の代表格で、熟れた時に食べると歯ごたえはもちろん、その味はおどろくほどおいしい。他の桃と比較できなく、おどろき独自の味がする不思議な桃だった。

 

桃の価格~16、18玉を狙え~

 上の写真は市場価格の速報で、JA出荷場に掲示してある。桃の大きさは、重さで決まる。25、22、20、18、16、15、13が標準規格(単位・玉)で、品種によっては28、12、11まで出荷できる。数字が小さくなるほど重たくなる。大きさと品質(特秀、秀、マル秀)で価格は決まり、大きい玉ほど高い。じゃあ、15や13玉をばんばん作って出荷すればいいかというと、そううまくはいかない。大きい玉は、枝に食い込み傷つきやすいのでロス(捨て玉)が小さい玉より出てしまう。

 写真を拡大しないとわかりづらいが、特秀13、15は2,500円/5kg箱、同じく16、18は2,300円/5kg箱。わずか200円しか変わらない。16,18を中心にロスを最小限に抑えてたくさん作る方が、売上を伸ばすことになる。秀の価格も興味深い。13,15は特秀より200円安い2300円。16,18は2000円、1800円と特秀との価格差が大きくなる。だが、20玉は1800円で特秀との差は200円と13,15と変わらない。

 市場出荷の行先はGMS、地場スーパー、百貨店、専門店、八百屋など様々だが、スーパーマーケットの業態が大きく買い付けている。そうなると、売り場で扱いやすいのは少し大きめの16,18玉となり、値付けもお客さんの手が届きやすい価格をつけられる。20玉は特秀より秀の引き合いが多いから、18玉と同じ価格だと推察できる。これこそスーパーのお買い得品コーナーに並べられる桃なのかもしれない。帰京した際に、いくつかのスーパーを覗いたが、20玉が大玉として扱われていた。逆に13,15はどこへ納められているのかも気になる。市場価格に一喜一憂するのでなく、市場のプレーヤー動向に気を配っていないと、品種構成や目標とする玉の大きさや品質を決めることができない。まずはその栽培技術を身につけるのが先決だが、経営のことをわかってないと売り上げは伸びないし、続けていくことが難しくなる。

 師匠の口癖は、「出荷価格の目標は、おしなべて400円/kg」。市場の取引価格もこれに肉薄している。市場出荷をメインにせず、価格交渉ができる直販や市場外取引に移行しないと経営が厳しいのではという話はまたの機会に。