田中、農業はじめるってよ

山形県大江町で2018年に独立を目指しています。

青年就農給付金の縛り

 新規就農について調べたことがある人なら青年就農給付金の制度を知っているだろう。農業はよく補助金の額が多く、給付要件が他の業種より緩いといわれる。ほかの業種で補助金制度がどうなっているかよく知らないが、おそらく手厚いと思う。独立するまで最大2年間、年150万円(準備型)。独立してから最大5年間、年150万円(経営開始型)。これらの金額を利用者は受給できる。財源は国民の税金で、みなさんに食わせてもらっている身分である。

 先週金曜日、青年就農給付金を受給するための面接を受けてきた。農業をやる意思、生活保護や失業保険など他の助成制度を受けてないか、就農計画の中身など、普通の面接だった。ここで落とされることはほぼないと思われるが、就農計画でのやり取りはどの品種を組み入れるかで参考になった。

 面接する前、担当者がこの給付金制度を利用する際の注意点を教えてくれた。

 ・アルバイトをする場合、週20時間を超えて継続的に働くと雇い主側は雇用保険加入義務が発生する。農業で独立するまでの生活資金を補助する本来の目的から外れるので、全額一括返済になる。

・年150万円の算定基準は、全国で一番生活費が高いと言われる東京都を基準に全業種の平均賃金を加味してはじき出した。ゆえに、150万円があれば物価の安い地方では十分に暮らしていけるだろう。

 つまり、アルバイトはそもそも必要ないでしょという話。実際は貯蓄を切り崩し、アルバイトをして糊口をしのいでるのが現状だが、お上の会計検査院は絶対に認めないらしい。昨年度、アルバイトが週20時間超えて継続して働いた人が一括返済になっている。だからといってアルバイトをするなということでなく、一度相談してくださいと言われた。

 この制度を利用するとその地域で最大8年間、農業で縛られることになる。それも色々な制約条件付きで。150万円の補助金制度にひかれて安易な気持ちで始めると、残るは借金だけとなる。それも一括返済で。

 農業で食っていくのは非常に厳しいし、独立して5年で経営を軌道に乗せるのは難しいだろう。10年、15年でようやくだと思う。青年就農給付金の制度がはじまって今年で4年目。あとで振り返った時、あの税金は無駄じゃなかったと言われるよう真面目に農業に取り組んでね。役人らしからぬ、熱い口調で話してくれた担当者だった。