田中、農業はじめるってよ

山形県大江町で2018年に独立を目指しています。

売れる桃とおいしい桃の違い

 師匠は7月中旬から下旬になると、からっきしやる気がなくなるという。とはいいつつも、仕事はあるわけで朝2時間、夕方2時間とのんびりと過ごしている。昨夕、まどかのシルバーシートを張ってあとは収穫を待つだけとなった。桃の栽培で難しいのは、いかに日光をあてずに固めの果実を作ることだと教えてくれた。シルバーを張るまでは、葉の色と果実がほぼ同化して、遠目ではなっているのかわからないように作らなければいけない。シルバーの反射光でお尻が赤くなり、初めて桃がなっていることを目で確認できるのがベスト。そして、軸(頭)には日光をあてずに葉っぱで覆うのポイント。軸に日が当たると一気に柔らかくなり、売り物にはならなくなるから。

 じゃあ、おいしい桃はどうか。日を当てて色づきやわらかくなったのを、もぎたてで食うのが一番。これにはかなわないが、箱詰めしてお客さんの手許に届く頃には熟れすぎてぐちゃぐちゃになる。もちろん、その前に市場やJAからクレームが入るが。

「桃を作っているのはお金をとるため。売れる桃を作らなきゃ」

 おいしい桃だから売れるのではなく、売れる規格に合わせた(大きさ、色、やわらかさなど)桃を作ること。今更ながら金づちで頭を殴られた衝撃を受けた。専業農家で食うことの基本的な考え方を目の当たりにした。規格や流通に問題ないかというは話は別として。