田中、農業はじめるってよ

山形県大江町で2018年に独立を目指しています。

雨除けハウスは万全でない

 さくらんぼの露地栽培は、雨除けハウス(天井のみビニールで覆う)のことを指す。なかには、これさえせずに文字通りの露地栽培をしている農家もある。雨に弱いさくらんぼなので、コストはかからないがハイリスクなので収益を上げるのはとても難しい。おいしさでは、日光が直接あたる文字通りの露地栽培のほうが勝る。紅さやかで試してみたが、味が濃くなくほんのり自然な甘みと酸味があった。

 雨除けハウスをすれば、あとは安心して収穫できるのか。そう簡単にはいかないのが難しいところ。ビニルをかけて3日から4日ほど雨が降り続いたら、湿気が溜まり、ハウス内の湿度は急上昇して、実割れを起こす危険が高まる。若い木ほど被害を受けやすく、中年や初老はそれほど受けないらしい。身を守る術を身につけているのか。早くかければいいのではなく、収穫予定日、生育状況、天候を見て、その時期を見計らう。できるだけ、収穫まで少ない日数の方がよい。例えば、水やり。雨はホースの散水に比べて窒素含有量がけた違いに多い。ハウスをかける予定日の前後に雨が降る予報ならば、それを待ってからかければ、その後の生育が順調に進む可能性が高くなる。

 湿気は消毒とも関係する。収穫直前に予防として消毒を行うが、晴れて湿気が少ない日に行わないと、消毒液の水分でさくらんぼが破裂する恐れが出てくる。かといって、消毒をしないと、ショウジョウバエカメムシに喰われて捨て玉(クズ)の割合がぐんと高くなる危険がある。収穫までの数日間は、この辺りを緻密に計算しないとパーになる。